舞台監督の1日の流れ|仕込みから本番までを完全解説

舞台の写真

■ はじめに

舞台監督の1日は、まさに「段取りと確認の連続」です。
早朝から仕込みが始まり、夜の本番終了まで、現場では常に状況が動いています。
演出家や技術スタッフ、出演者など多くの人が関わる中で、舞台監督は全体をコントロールし、公演を無事に終える責任を担っています。

この記事では、舞台監督の典型的な1日の流れを時系列で紹介しながら、各工程で求められるポイントや注意点をわかりやすく解説します。

 

■ 朝:仕込み前の準備と最終確認

● 会場入りと打ち合わせ

舞台監督の1日は、スタッフの誰よりも早く会場に入るところから始まります。
会場の図面を確認し、舞台の寸法や搬入口、電源位置などを再確認。
その後、各部署(照明・音響・舞台装置・大道具など)のリーダーと短い打ち合わせを行い、1日の進行スケジュールを共有します。

ポイント:
◎ 当日の流れを“口頭+書面(進行表)”で全員に明示する
◎ 「誰が・いつ・何をするか」を明確に伝える

 

■ 午前:仕込み(舞台設営)

● 舞台の骨組みをつくる

舞台装置や照明・音響機材を搬入し、実際の舞台を組み立てる時間帯です。
舞台監督は全体の進行を見守りながら、予定より遅れているセクションがあれば調整し、安全確保を第一に指示を出します。

● チェックポイント

◎ 舞台装置の位置・強度確認
◎ ケーブルや配線が通路を妨げていないか
◎ 搬入動線・転換スペースの確保

コツ:
舞台監督自身が手を出すより、「各部署が動きやすい環境を整える」のが重要です。

 

■ 昼:リハーサル準備

仕込みが完了すると、照明・音響のチェックリハを経て、いよいよ出演者を交えた通しリハーサルの時間になります。

● 舞台監督の役割

◎ 演出家と進行内容のすり合わせ
◎ 出演者の導線・転換確認
◎ 修正箇所を即座に記録し、次のリハに反映

リハーサル中は、演出家が“作品面”を見ているのに対し、舞台監督は“運営面・安全面”から全体を俯瞰して見ています。

トラブル対応の鍵:
「本番で再現できる段取りになっているか?」を常に意識。

 

■ 夕方:最終確認と本番準備

リハーサルが終わると、いよいよ本番前の最終準備。
照明のプリセット、音響キューの最終調整、転換動線の確認など、細かなチェックを繰り返します。

● 本番前ミーティング

舞台監督を中心に、全スタッフ・出演者でミーティングを実施。
進行表の再確認と、変更点・注意事項を共有します。

この時間で「全員が同じ意識で本番を迎えられるか」が成功のカギです。

 

■ 夜:本番

● 舞台監督の立ち位置と役割

本番中、舞台監督は袖(ステージサイド)やオペレーションルームから進行を統括します。
照明・音響・転換などに“キュー(合図)”を出しながら、全体の流れを把握し、想定外の出来事にも瞬時に判断を下します。

● よくある対応例

◎ 演者が出遅れた際のタイミング調整
◎ 機材トラブル時の代替対応
◎ 転換が遅れた場合のフォロー

本番中は「冷静さ」が最大の武器。
どんなトラブルが起きても、表情や声のトーンを変えず、チーム全体に安心感を与えることが重要です。

 

■ 終演後:撤収と振り返り

本番が終わっても、舞台監督の仕事はまだ続きます。

● 撤収作業の指揮

装置・照明・音響機材を安全に撤収し、会場を元の状態に戻します。
作業中の安全確認や、貸出機材の返却チェックも欠かせません。

● スタッフとの振り返り

終演後には、スタッフミーティングを行い、「今回良かった点」「改善すべき点」を共有します。
この積み重ねが、次の公演のクオリティ向上につながります。

 

■ 舞台監督の1日を支える考え方

舞台監督の1日は、まさに“現場の管理者”としての総合力が試される時間です。

◎ 計画を立てる力
◎ 状況を読む力
◎ チームを動かす力

この3つをバランスよく使いこなすことで、1日の流れがスムーズになり、現場全体の信頼感が生まれます。

舞台監督の仕事は、派手さよりも「丁寧な積み重ね」。
それが最も大きな成果――“安全で美しい公演”につながります。

 

■ まとめ

舞台監督の1日は、舞台の仕込みから撤収まで、常に判断と調整の連続です。
一見、裏方のようでありながら、実は全員の動きを支える“舞台の中心”といえる存在。

 

次回の記事では、
「舞台監督に必要なスキル5選」
をテーマに、現場で信頼されるための具体的な能力を解説していきます。

 


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